公会計の動向 -4ページ目

青森県の分収造林事業も直営へ

 河北新報サイト青森ページが3月27日に掲出した「青森県・農林公社 来月8日解散 」は、民事再生手続き中の青い森農林振興公社(青森市)が26日、青森市で通常総会を開き、4月8日に解散することを決めたと報じる。債権者の青森県と日本政策金融公庫に対する弁済が同日終了するためで、県と公益社団法人あおもり農林業支援センターに、事業を引き継ぐとのこと。公社は、1月に認可された民事再生計画に基づき、分収造林事業を4月1日付で県に譲渡しており、同時に、整備した森林による代物弁済などで7億円を県に返済し、8日には公庫に現金4億円を返し、計11億円の弁済を終えるとの由。公社の債務額は367億円で、残りの356億円は、県の債権放棄などにより弁済が免除されるとのこと。解散方針は、公社に出資する市町村や農林団体関係者50人が総会で了承され、解散後は清算法人に移行し、9月末に清算手続きを完了させるとのこと。債権放棄で生じた巨額の損失について県は、「第三セクター等改革推進債」の活用で圧縮を図るとか。整備した森林の販売収入を地権者の契約者と分け合う分収造林事業でも、県側の収入割合を高めて利益を確保する方針で、割合見直しは契約者側の減収につながるが、26日現在で契約者1034人のうち877人(85%)が同意しているとのこと。


神戸市が退職金を3年間で16%削減

 iJAMPが3月22日に配信した「退職金、3年間で16%削減=神戸市」は、神戸市が25年度から、職員の退職金を3年間で16.3%削減するとともに、市長ら特別職の退職金も追加削減する方針を決めたとか。関係条例の改正案を市議会に提出し、成立後4月からの施行を目指すとのこと。市給与課によると、職員1人当たりの退職金は23年度で平均2575万円だが、改正案では25年4月から平均で140万円、26年4月から280万円、27年4月以降400万円削減するとのこと。削減効果額は3年間で約41億円とか。特別職の退職金の追加削減は行財政改革の一環で、今任期中の退職金について矢田立郎市長は30%、副市長3人は15%削減しているが、さらに5%削減し、矢田市長の改正後の退職金は2727万円(本則は4196万円)とか。常勤監査委員も新たに20%削減するとのこと。矢田市長は「職員全体に退職手当を減らしていただく中、幹部がそれに準じた対応をすることは重要」と話していると記事は伝える。

税外債権の延滞金率を上げることが未収金の縮減に効果があると判断した例

 iJAMPが3月22日に配信した「税外未収延滞金率を2倍に=静岡県」は、静岡県が、税外未収金の縮減を目指す一環で、税外収入督促条例を改正すると報じる。納期限から1カ月たった未収金のうち使用料や手数料などの延滞金率を現在の年7.3%から14.6%に引き上げるとのこと。4月1日に施行し、同日以降に納期限が来る債権から適用するとの由。改正案の対象となるのは、公債権のうち個別法(民法や道路法など)で延滞金の徴収方法が決められているもの以外の債権で、財政課は具体例として、産廃の原状回復代執行費用返納金や児童措置費納付金などを対象に挙げており、こうした公債権の延滞金率はこれまで期間に関係なく年7.3%だったが、県議会から「低いのではないか」などと指摘されていたとのこと。改正案では、県税の延滞金率と同じ計算方法を適用し、納期限の翌日から1カ月間は、年7.3%を上限に毎年の特例基準割合(25年は年4.3%)を使うが、期限を過ぎたものは年14.6%にするとのこと。同県の23年度の税外未収金は、公債権と私債権合わせて35億9500万円で、県は各部の担当課長を集めた「税外収入債権管理調整会議」を設置して対策に力を入れていると記事は伝える。

群馬県が病院管理者を廃止

 読売サイトが3月19日に掲出した「群馬県立病院の「管理者」廃止 」は、群馬県が新年度、県立4病院の経営責任者である病院管理者のポストを廃止する方針を決めたと報じる。経営改善に一定の成果があったことや、組織のスリム化を図ることなどが主な理由で、今後は、各病院長の経営管理力を強化することで専門病院としての機能を高め、現場目線で医師確保や地域の医療機関との連携にあたるとか。大沢知事が18日の県議会議会運営委員会の追加議案説明で明らかにしたもので、総務省によると、病院経営の責任明確化や柔軟な運営を可能とするため、地方公営企業法を全部適用して人事や組織、財務などの権限を知事部局から独立させているのは、23年度末現在で群馬を含め26都道府県に上るが、いずれも管理者を置いており、ポストを廃止するのは「極めて異例」(総務省公営企業課)とのこと。県は15年度、心臓血管、がん、精神医療、小児医療の4センターの経営責任者として病院管理者を設け、初代には心臓血管センターの元院長が就任して、現在は2代目を元県健康福祉部長が務めており、この間、病院の基盤整備などを進め、医業収益は15年度の134億円から、23年度には197億円に増加しており、最大約25億円(19年度)に上った赤字も約6億円(23年度)と改善傾向にあるとのこと。今後は、大沢知事が管理者の権限を執行するとの由。

福井林業公社は公庫債務114億円、県融資分344億円

 中日新聞サイト福井ページが3月8日に掲出した「繰り上げ償還要望へ 旧林業公社県営化問題」〔県議会取材班〕は、福井県議会が7日、総務教育、産業の両常任委員会を開き、総務教育委では「ふくい農林水産支援センター林業部門(旧林業公社)」の県営化問題で、森阪輝次総務部長が、日本政策金融公庫からの債務について、公庫や国に対して繰り上げ償還などを認めるよう求める考えを示したと報じる。県営化した場合、公庫からの債務約114億円(24年度末見込み)は県が引き受けるが、原則繰り上げ償還ができない仕組みであり、現状では70年度まで掛け、将来発生する利息分を含めて約143億円を支払わなくてはならず、利息分の低減などに向け、森阪部長は「国策でやってきたことであり、繰り上げ償還や利率引き下げを求めていきたい」と述べたとか。また、県が貸し付けた約344億円の債権放棄などには県議会の議決が必要で、森阪部長は「なるべく早くしたいが、25年度の2月定例県議会までに議案を提出したい」との見通しを示した。

佐賀県住宅公社は完売して解散を繰り上げ

 読売オンライン九州ページが3月8日に掲出した「佐賀県住宅供給公社廃止へ、県が損失ほぼ全額放棄」は、佐賀県が、「県住宅供給公社」(理事長・牟田香副知事)を今年度で廃止する方針を決めたと報じる。最終的な損失は2億4000万円の見込みで、債権者の県は、ほぼ全額を放棄すると記事は伝える。開会中の県議会2月定例会に関連議案を提案しており、可決される見通しとのこと。県によると、同公社は昭和40年、「良質な住宅の県民への提供」を目的に設立され、県内各地で土地を購入して造成し、住宅を建てて売る宅地開発事業を展開してきており、これまでに計5347区画を造成、販売したとのこと。ピーク時の昭和40~50年代は、年間200区画以上を売り上げたが、バブル崩壊後は、地価の下落や競合する民間開発業者の成長などで、販売は年間30区画まで落ち込み、同公社は平成17年度に経営改善計画を策定し、残地(500区画)を完売した後、廃止する方針を決定していたとの由。残地の完売は35年度で、最終的な損失は約20億円と予想していたが、鳥栖市内で順調に売れるなどしたことから、昨年12月末で完売し、この結果、債務も少なくなり、廃止を前倒しすることになったとのこと。

東京都は尖閣寄付で基金を設置

 時事ドットコムが3月8日に掲出した「尖閣寄付、基金化条例が成立=国の活用事業に充当模索-東京都」は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を購入、活用する目的で東京都が全国から集めた寄付金(約14億円)を基金化する条例が8日、都議会本会議で民主、自民、公明などの賛成多数で可決、成立したと報じる。寄付金は、国が行う同諸島関連の事業に充てられることになるが、都は、同諸島をめぐって中国と緊張関係にある点も考慮し、「外交・防衛を専管する国の動向を見極める」としており、実際の活用の見通しは立っていないと記事は伝える。寄付金は、石原慎太郎前都知事が昨年4月、尖閣諸島のうち個人所有分の購入計画を表明し募集を開始したが、結局は国有化されて宙に浮いた状態となっており、会計ルール上、年度をまたぐと都の収入になるため、寄付者の意向に反しないよう使用目的を限定した基金にする必要があったとの由。今年1月末まで募った寄付は約10万3600件で、都によると、国有化以降、寄付の返還要請が約170件寄せられているが、都は「寄付者の志は公による島の所有と活用だった。島の有効活用に充てたい」などとして返還しない方針であり、島の活用策は石垣市とも連携し、国に提案していくとのこと。

地方自治法(昭和22年法律第67号)
第241条  普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するための基金を設けることができる。
2  基金は、これを前項の条例で定める特定の目的に応じ、及び確実かつ効率的に運用しなければならない。
3  第一項の規定により特定の目的のために財産を取得し、又は資金を積み立てるための基金を設けた場合においては、当該目的のためでなければこれを処分することができない。
4以下略

福井県も分収造林撤退へ

 読売オンライン福井ページが3月2日に掲出した「負債505億円旧林業公社 県が事業引き継ぎへ 」〔。(酒本友紀子、原典子〕は、福井県の外郭団体・旧県林業公社(現ふくい農林水産支援センター)が約500億円の負債を抱え、経営が行き詰まっているとして、県が、公社が植林と伐採を行い土地所有者と収益を分け合う分収造林事業の部門を25年度末をめどにセンターから切り離し、県が直轄で事業を引き継ぐ方針を決めたと報じる。それにより、県が貸し付けてきた344億円の債権の大半を放棄し、残りの借金も肩代わりすることになるとのこと。公社は、県が高度経済成長に伴う木材需要の急増を当て込んだ国の造林政策に呼応し、昭和31年に設立され、民間が手を付けない奥地を中心に平成10年まで植林を続けて、現在は県内の人工林の13%にあたる約1万5000ヘクタールを管理しているが、植林から45~80年後にしか木材として販売できず、植林や保育にかかる人件費などは、国や県の補助金に加え、県や金融機関からの借入でまかなってきており、一方、木材価格はピークの昭和55年から3分の1以下に続落していて、収支計画は大きく狂い、事業は完全に行き詰まったとのこと。県によると、今年度末の債務残高は505億円で、そのうち、県が貸し付けた344億円は、数億円程度とみられる立ち木の現在価格を差し引き、事業を引き継ぐと同時に放棄するとの由。残る161億円は日本政策金融公庫や民間金融機関からの借金で、県が金融機関分は繰り上げ返済して将来の利子を7億円分節約するが、公庫が繰り上げ返済に応じないため、29億円の利子が発生するとのこと。こうした負債は、同様の公社のある全国の自治体で深刻な問題になっており、全国的な議論の高まりを受け、県は平成22年9月に公社の存廃などを検討する第三者委員会を設置し、委員会は「信用力や組織力が安定した県が事業を継ぐことが適切」とする報告書をまとめ、先月27日に県に提出したとの由。1日の県議会で、県の森阪輝次総務部長は「今、改革に着手することが最善で、県民の皆様に丁寧に説明をしながら進めて参りたい」と述べ、理解を求めたとか。


鹿児島県も土地開発公社を解散へ

 読売オンライン鹿児島ページが2月21日に掲出した「県土地開発公社解散へ 来年度中 」は、鹿児島県が、県土地開発公社を来年度中に解散させることを決めたと報じる。県議会定例会に関連議案を提案するとのこと。公社は7年に設立され、公共事業の土地の先行取得などを行ってきたが、最近は大型事業の減少、地価の下落などで先行取得の意義が薄れていたとの由。県によると、公社は約46億円(昨年3月末現在)の長期借入金を抱えており、未分譲の土地も多く、県は国が創設した「第3セクター等改革推進債」などを活用して弁済する方針で、公社は所有する土地で県に清算するとのこと。県は、起債するための議案も県議会に提案する方針とか。


大阪府下水道事業の統合ルール

 日経サイトが1月26日に掲出した「水道統合へ共通ルール 大阪府内の自治体 」は、大阪市を除く府内42市町村でつくる大阪広域水道企業団(企業長・竹山修身堺市長)が25日に首長会議を開き、府内の水道一元化に向けて、各自治体の水道部門を統合する際の共通ルールを決めたと報じる。大阪市もこのルールを受け入れており、一元化の議論が一歩進んだと記事は伝える。各自治体が持つ浄水場などの資産は企業団が無償で承継し、承継後に廃止する場合はもともと所有していた自治体が跡地活用を主導するなどの内容としたとのこと。企業団と大阪市水道局が水道一元化に向けて協議を進めており、共通ルールづくりは大阪市が提案したもので、42市町村に同意を求めていたとの由。